相続・遺言

Q1:父が半年前に死亡し、遺産を分けたいのですが、3人いる私の兄弟のうち、ふらっと家を出たきり、10年以上行方も生死も分からない兄がいます。このような場合、どのようにすれば遺産を分けることが出来ますか。

Q2:2ヶ月前に父が死亡し、遺言を残しておりませんでしたので、その遺産分割について協議を始めたいのですが、私の主張できる割合はいくらになりますか。母と子供である姉、兄、私、それに数年前に亡くなった妹、妹には夫と2人の子供(甥、姪)がいます。父の遺言はありませんでした。

Q3:父が亡くなってその49日法要も終わり一段落しましたので、兄弟姉妹等相続人で遺産分割の話合いを始めたのですが、協議がまとまりません。少し時間を置いて、再度協議を行うことにしましたが、残念ながらまとまる可能性はほとんどありません。まとまらなければ、どんな解決方法がありますか。

Q4:私は75歳の高齢者です。私の亡き後、子供たちが仲良く又困ったときはみんなで支えあって暮らしてほしいと望むのですが、巷間では遺産分けに際し、その争いをよく耳にします。子供3人はそれぞれ独立し各々家庭を持ち、つつがなく暮らしておりますので、うちに限ってそのようなことはないと思うのですが、一抹の不安があります。一度子供達が揃ったときに、その旨言い聞かせておこうと思っておりますが、いかがでしょうか。遺言のような形式ばったものは、どうも気乗りがしないのですが。



 
Q1
父が半年前に死亡し、遺産を分けたいのですが、3人いる私の兄弟のうち、ふらっと家を出たきり、10年以上行方も生死も分からない兄がいます。このような場合、どのようにすれば遺産を分けることが出来ますか。

A1
10年以上生死不明のお兄さんについて、先ず家庭裁判所に失踪宣告の申立を行います。そしてこの申立の結果、審判が確定すれば、お兄さんは最後に生存が確認されてから、7年を経過したとき(これを普通失踪といいます)に死亡したものとみなされます。その後、確定した審判の謄本を添付し、市町村役場にお兄さんの死亡の届出をします。お兄さんが最後に生存が確認されたのが家を出たときであれば、その後7年を経過したときに死亡となるわけですからそのお兄さんはお父さんが亡くなる数年前に死亡していたことになり、お父さんの相続人にはなりません。よって、お兄さんを除く相続人で協議をし、遺産を分けることになります。
もし最後に生存が確認されたのが家を出たときではなくて、その後数年経ってからで、まだ7年を経過していないときは、違った協議方法となり、その分割も異なってきますが、ここでは説明を省略します。
また分割後において、そのお兄さんが死んでおらず突然戻って来るということが考えられますが、この場合に先に行った分割の協議が無効になるとか、取り消されるということはありません。ただし、分けてしまったそのお兄さんの財産(お兄さん本来の相続分)については、その割合に応じて返す必要が生じることがありますので、注意してください。
もっとも、そのお兄さんに子供がいれば、その子供は、そのお兄さんの受けるはずであった相続分を相続します(代襲相続といいます)から、その子供を交えての遺産の分割となりますし、この場合も先に述べたのと同様に、分割の協議が無効になるとか、取り消されることはありません。



 
Q2
2ヶ月前に父が死亡し、遺言を残しておりませんでしたので、その遺産分割について協議を始めたいのですが、私の主張できる割合はいくらになりますか。母と子供である姉、兄、私、それに数年前に亡くなった妹、妹には夫と2人の子供(甥、姪)がいます。父の遺言はありませんでした。

A2
遺言がなければ、協議に際し法律上主張できるとされている法定相続分は、お母さんが2分の1である半分、残りの半分についてあなた達子供(数年前に亡くなった妹さんを含めて)4人が、各自4分の1ずつとなりますので、2分の1×4分の1ですから8分の1ずつとなります。また、妹さんは既に亡くなっていますので、生きていれば妹さんが主張出来るとする限度の8分の1につき、その子供である甥、姪それぞれがその2分の1、つまり16分の1ずつとなります(代襲相続といいます)。したがって各自の法定相続分を改めて説明しますと、お母さんが2分の1、姉が8分の1、兄が8分の1、あなたが8分の1、甥が16分の1、姪が16分の1となり、全て合せると16分の16、つまり1となります。また妹さんの夫については、今回のケースでは相続人になりませんので、当然法定相続分はありません。
ここで遺産分割の協議に際し、注意していただきたいことがあります。
先ず一点は、法律上主張できるとされている法定相続分として、各自これこれだと申しましたが、これは協議を拘束する、つまり法定相続分どおりに分けなくてはならないことを意味するものでは決してありません。つまり協議でそれぞれの相続分を全く自由に決めて良いのです。
二点は、あなた達相続人の中で、生前にお父さんから贈与を受けた者(特別受益者といいます)がいれば、その贈与を加えたものを遺産として計算し、それぞれの具体的相続分を算定することになります。その贈与となるものは全ての贈与が該当するわけではありません。どんなものが該当するかといいますと、婚姻、養子縁組のためのもの、もしくは生計の資本に限られています。婚姻、養子縁組のためのものというのは、持参金、嫁入り道具、支度金などをいい、生計の資本としての贈与としては、農家の次男が田畑をもらったりとか、商売をするための資金を出してもらったりとか、世帯をもつときに住宅を建ててもらったりとか、土地をもらったりした場合です。また、他の兄弟とは別に、お父さんの資産収入からみて、無理をして学資の負担をし一人だけ大学に行かせてもらった場合には、その学資が生計の資本と考えて良いでしょう。したがってこの特別受益者については、法定相続分からこの特別受益となる生前贈与を差し引いたものを受け取るということになります。あなたのケースでは遺言がないとのことですので、遺言で特定の者に贈与をする(遺贈といい、この場合も特別受益となります)ことはありませんから、これを考慮しなくてよいことになります。
三点は、相続人の誰かが、お父さんに対して特別な寄与(貢献)をしていたかどうかを考慮し、その協議に臨むことも必要です。これは寄与分制度といわれるもので、具体的には、共同相続人の中の誰かが、お父さんが行っていた事業に対して、労務の提供とか財産(金銭、不動産その他のもの)を給付していたとか、あるいはお父さんが病気や怪我を負って療養していたときに、長期間に亘ってその看護をしていたというようなものでありまして、これらに限らず他の方法でも良いのですが、ただその貢献が顕著なものでなければなりません。お父さんの財産の維持又は増加につき、そのような特別の寄与をした者がいれば、協議の中でそれを評価し、亡くなった時のお父さんの財産の価額からこの寄与分を控除したものを遺産とみなして、分けることになります。そのような寄与があって協議をしたのだけれど、その寄与分がどの程度のものか決まらない状況もあり得ます。そんなときは、家庭裁判所に申立てをして、これを決めてもらうことになります。



 
Q3
父が亡くなってその49日法要も終わり一段落しましたので、兄弟姉妹等相続人で遺産分割の話合いを始めたのですが、協議がまとまりません。少し時間を置いて、再度協議を行うことにしましたが、残念ながらまとまる可能性はほとんどありません。まとまらなければ、どんな解決方法がありますか。

A3
よく聞く話ですね。みんなが謙虚な姿勢で協議に臨めば、まとまるようにも思うのですが、なかなかすんなりとはいかないようです。私が相談を受ける場合に時折申し上げるのは、亡くなった方が一番悲しむような方法だけは避けてほしいと。冷静になりそれを考えていただけたら、ひょっとして道は開けるのではと。しかし、道義的なことを述べても無理な場合があります。もし協議が整わないか、協議をすることができないのであれば、相続人の申立によって家庭裁判所による分割がおこなわれます(審判分割といいます)。この申立を行なうと、家庭裁判所は、審判分割の前に、調停による分割を試みます(調停前置主義といいます)。裁判官、調停委員を交えて先ず話合いをするということです。その調停がまとまらない、つまり不調となりますと、家庭裁判所は、申立に基づいた審判分割をすることになります。遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所がその遺産の分割をすることになるわけです。ちなみに、過去の審判の例では、農地の分割に当たって、相続人の職業を考慮して、農業経営者に農地を与えた上で、農地を取得した相続人に対し、農業をしていない他の相続人に相続分相当の金銭の支払いを命ずるという分割を行なったものがあります(代償分割とか債務負担の方法による分割といわれるものです)。また審判分割の具体的方法としては、現物分割を原則とします。つまり金銭であれば○万円を甲に、○万円を乙に分けるとか、数筆の土地であれば、Aの土地を甲に、Bの土地を乙に分けるということです。しかしこの現物分割が出来ない場合や、現物分割によってその価額が著しく下がると判断したときは、遺産の全部又は一部を処分して、その代価である売却代金を相続人に分けるという方法(価額分割といわれるものです)、あるいは特別の事情があるときには相続人の一人又は数人に現物(土地、建物等)を与え、与えた者に他の相続人に対する債務(金銭的負担等)を負担させるというような分割をすることもあります。さらには遺産の全部又は一部を、相続人の全部又は一部の共有とするなどの分割を行なうことも考えられます。



 
Q4
私は75歳の高齢者です。私の亡き後、子供たちが仲良く又困ったときはみんなで支えあって暮らしてほしいと望むのですが、巷間では遺産分けに際し、その争いをよく耳にします。子供3人はそれぞれ独立し各々家庭を持ち、つつがなく暮らしておりますので、うちに限ってそのようなことはないと思うのですが、一抹の不安があります。一度子供達が揃ったときに、その旨言い聞かせておこうと思っておりますが、いかがでしょうか。遺言のような形式ばったものは、どうも気乗りがしないのですが。

A4
 
一番安心できるのは、やはり遺言を残すことです。それまで仲の良かった兄弟が、遺産分割の話合いで仲違いをし、行き来がなくなるという話をよく耳にします。遺産分割の協議の場では、兄弟姉妹それぞれが対等の立場に立ちます。それは当然のことであり全く正しいのですが、問題となるのは、対象となる遺産につき、現実には分割に適さないと申しますか、つまり、建物、土地という不動産は存在しても、それが相続人各自に割り当てられるほど残されていない現実があります。そのときに、この不動産の評価に見合うだけの預貯金があれば、それはそれで合意の方向に向かうのではとも思われますが、残念ながら実体は、そんなにバランスよく財産を残せるものではないようです。それを嘆いても、あるいはそれを分割に適するように変えようとしても、一朝一夕にはいきません。そしてこのような状況時に、往々にして遺産分割の話合いが始まるのです。
したがって、将来の相続人である子供間のトラブルを事前に予防することを考えますと、やはり遺言を残すことをお勧めします。
まず、遺言の方式について説明いたします。これには、普通方式と特別方式があります。特別方式とは、読んで字のごとく特別な状況での遺言でありまして、危急時遺言とか臨終遺言といわれるもの、また隔絶地遺言といわれるものがあります。危急時遺言とは、病気その他の事由で死亡が間近に迫っている者が、証人に対して遺言の趣旨を口頭で伝え、それを証人が筆記押印等して遺言とするものや、遭難した船の中で死亡が間近に迫っている者が同様に行なうものです。隔絶地遺言とは、伝染病のために行政処分により交通を断たれた場所にいる者が、警察官及び証人の立会いのもとに作成するものや、船に乗っている乗客あるいは乗組員が、船長あるいは他の職員の立会いのもとに作成するものです。現在ではこの者と同様に、刑務所に収監されている者とか、洪水や山崩れ等で交通の遮断地にある者が対象者として考えられるでしょう。
あなたの状況では、今申し上げた特別方式は該当しませんね。では、あなたに適切と思われる普通方式の遺言について、これから説明いたします。これには、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。それぞれの方式には、残念ながら一長一短があり、それも併せての説明と致します。
1番目の自筆証書遺言ですが、これは証人等の立会いやその署名押印も必要ありません。ですから一人で作成できます。ただし、作成に際し厳格な要件を求められます。どんなことかといいますと、遺言書の全文、日付、氏名を自書し、これに押印する必要があります。自書する必要がありますから、誰かに頼んで書いてもらったものとか、タイプライター、ワープロ、パソコン等、機械を使って作成したものは無効となります。テープレコーダーに吹き込んだ遺言も同様に無効です。また遺言書の訂正等の方法についても、有効にするための厳しい要件がありますので、その訂正等が認められないケースが生じることもあります。加えて日付についても、何年何月だけで日の記載がないとき、あるいは書いてはいるが吉日との記載のものも無効となります。ただ押印については、認印、実印、拇印のいずれでも良く、どちらかというとこれだけが要件のゆるいものとなっています。この方式は一人で作成できますので、簡単で費用もかからないという長所がありますが、反面、作成の要件が厳しいために無効となる危険性が高くなること、また遺言書の滅失、偽造、変造のおそれや保管場所によってはそれが発見されないという心配があり、加えて裁判所に対して遺言書がありましたという確認をしてもらう検認という手続きが必要です。その上裁判所による検認を受けたからといっても、先ほど申し上げた要件を備えなければ、有効な遺言書としては扱われないことにも注意して下さい。
次に2番目の公正証書遺言ですが、これは二人以上の証人の立会いを得て、遺言者が公証人に遺言の趣旨を口頭で伝えて、公証人がこれを筆記し、遺言者や証人に読み聞かせ、その筆記が正確なことを承認した後に、遺言者、証人、公証人のすべての者が署名押印する方式のもので、原本が公証人役場に保管されます。したがって、受領したこの謄本をなくしたとしても、新たに謄本を交付してもらえます。この作成は、通常公証人役場で行ないますが、遺言者が病床にある場合には、公証人の出張を求めて、病床で作成することもできます。この方式は、公証人という法律の専門家により作成されるものですから、無効になる可能性が非常に低いもの、言い換えれば有効の確実性が一番高いということや、遺言書の文面すべてを考える必要もなく、遺言書の滅失、偽造等のおそれもないという長所があり、また自筆証書遺言のように裁判所の検認も必要ありません。しかし短所として、公証人等への作成費用を要すること、二人以上の証人の準備をしておかなくてはならないこと、またその証人等に遺言の中身を知られてしまうということがあります。
最後に3番目の秘密証書遺言ですが、これは遺言者が自書したものでも、タイプ等の機械により作成したものでも、あるいは他人に書いてもらったものでも構いませんから、それに遺言者が署名押印し、封筒に入れ封をし、同じ印鑑で封印します。そして、二人以上の証人とともに公証人役場へ出向き、その証人及び公証人の前に遺言書が入っている封筒を差し出して、自分の遺言書であること、その遺言書を他人が書いたのであれば、その人の住所と氏名を述べます。公証人はその封筒に、封筒の差出日と遺言者の述べたことを記載します。最後に、遺言者、証人、公証人それぞれが、その封筒に署名押印して出来上がりとなります。この出来上がった遺言書は、遺言者本人が保管します。この方式では、遺言書を作成するのに機械を使ってもよく、自分で作成すれば、内容を証人にも知られることもありません。反面、一言で言えば手続きが複雑です。また遺言書の訂正等の方法については、1番目の自筆証書遺言の方式で述べたように、有効にするための要件があります。この要件のチェックが不充分となる可能性がありますのと、公証人等への作成費用を要すること、二人以上の証人の準備をしておかなくてはならないこと、また本人が保管することから、紛失のおそれがあり、更には裁判所の検認が必要です。
以上の説明で、いずれの方式にも、一長一短あることがお分かりいただけたと思います。この3つの方式の中であなたが選ぶとすれば、確実性が高く、遺言の趣旨だけを考えることに集中できる公正証書遺言が、最適ではとアドバイスいたします。でも、信頼のおける証人の手当が必要ではとお考えになるかも分かりません。そんなときは、守秘義務のある ¨行政書士にお任せ下さい。遺言の相談と証人でお役に立ちます。¨

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