Q1
最近、新聞等で知的財産権とか知的所有権という言葉をよく目にするのですが、これは著作権のことですか。
A1
答えは、残念ながら正しいようで正しくありません。著作権とは、知的財産権とか知的所有権とか呼ばれる権利の1つだからです。それでは、知的財産権(知的所有権)とは何ですかということですが、これは、「知的な創作活動によって何かを創り出した人に対して、他人に無断で利用されない権利、つまりその創り出したものを独占的に利用する権利」を与えるもので、その制度でもあります。そして、知的財産権(知的所有権)には、著作権以外にどんなものがあるかといいますと、特許権・実用新案権・意匠権・商標権の4つの権利を指す産業財産権(工業所有権とも呼ばれているもの)、その他に半導体集積回路(専門家ではないので適切ではないかもしれませんが、パソコンなどの電子機器に使われ、またその他の産業用機械にも今や必需品の大規模集積回路と呼ばれるLSIなどを指すのでしょう)の回路配置に関する法律に規定する回路配置利用権や種苗法に規定する育成者権などがあります。
このうち、特許権等の産業財産権や回路配置利用権、育成者権などは、「申請」、「登録」等の手続きが必要な権利です。
では著作権とは、どのような権利であるかということですが、これは著作者の権利と著作隣接権の二つを指し、特許権等のような「申請」、「登録」等の手続きを一切必要とせず、著作物が創られた時点で、自動的にその権利つまりその創り出したものを独占的に利用する権利を与えられるものでして、これが国際的なルールとなっています。
著作者の権利」によって保護されているものは、「著作物」と言われています。では、「著作物」とはどのようなものを指すのかということですが、著作権法にその規定があります。それには、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されています。したがって、単なるデータや単なる事実のみを表したものは除かれます。また著作権は表現を保護していることから、アイディアは対象とならず、これは特許権等の保護の対象となります。そして工業製品などは、その範囲に属しませんので、著作物から除かれます。
それでは、著作物とは具体的にどんなものを指すのかということになります。著作権法第10条にはその例示規定があり、言語に関するものとしては、「講演、論文、レポート、作文、小説、脚本、詩歌、俳句など」があり、音楽に関しては、「楽曲、楽曲を伴う歌詞」があり、この他には舞踏や無言劇、美術、地図や図形、映画、写真、プログラムに関するものがあります。
以上申し上げたものは、一般の著作物ですが、この他に二次的著作物や編集著作物があります。ある外国の小説を日本語に「翻訳」した場合のように、一つの著作物を「原作」とし、新たな創作性を加えて創られたものは、原作となった著作物とは別の著作物として保護されます。この翻訳したものは、「二次的著作物」と呼ばれており、既存の楽曲を「編曲」したものなどもこれに当たります。また、詩集、百科事典、新聞、雑誌のような「編集物」は、そこに「部品」として収録されている個々の著作物等とは別に、「全体」としても「編集著作物」として保護されます。
元に戻りまして、著作権の権利である「著作者の権利」とは、どんなものであるかですが、これは人格的利益(精神的に「傷つけられない」こと)を保護するための「著作者人格権」と、財産的利益(経済的に「損をしない」こと)を保護する「著作権(財産権)」の二つがあります。この「著作者人格権」は、著作者が精神的に傷つけられないようにするための権利であると説明しましたように、創作者としての感情を守るためのものですから、譲渡や相続の対象とはならないとされています。一方、財産的利益を守るための「著作権(財産権)」は、土地の所有権などと同様に、その一部又は全部を譲渡したり、相続したりすることができます。したがって、通常、著作物が創作された時点では、「著作者」(創作者)と「著作権者」(「著作権(財産権)」を持つ人)は同一ですが、「著作権(財産権)が譲渡されたり、相続されたりすると、著作者と著作権者は異なるようになり、主体が分かれるということになります。
また、著作権のもう一つの権利である「著作隣接権」とは、どんなものであるかといいますと、著作物等を「伝達する者」(実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者)に与えられる権利でありまして、著作物を演じる歌手や俳優などは、実演家としてその権利を取得します。
Q2
説明を聞いて、著作権について少し分かったような気がします。他人に無断で利用されない権利であるのであれば、何かに利用するために、本や雑誌などを無断でコピーすることは駄目ということですね。違法となるわけですか。
A2
すべてが違法とはなりません。例外的に認められる場合があります。それは、家庭内など限られた範囲内で、仕事以外の目的に使用するために、使用する本人がコピーする場合で、誰でも使用できる状態で設置してあるダビング機などを用いず、またコピープロテクション(複製防止機能)を解除して、コピーするものでないことの厳しい条件があります(著作権法第30条)。たとえば、テレビ番組を録画(録画予約)して、後日自分で見るような場合です。あるいは、インターネットを利用して、著作物をダウンロードしたり、プリントアウトしたりすることも例外となります。学校の児童が、本人の「学習」のために、行なうコピーも同様です。また学校・公民館などの営利を目的としない教育機関で、教員等や授業を受ける者が教材作成などを行なうためにコピーする場合です(同法第35条)。また入学試験とか入社試験などの問題としてコピーする場合(同法第36条)、あるいは公立図書館等でコピーする場合(同法第31条)、社会福祉の増進の観点から著作物を点字に訳したり、又は録音図書を製作する場合(同法第37条)、時事の事件の報道のための利用(同法第41条)などがあります。いずれの場合においても、対象が既に公表されている著作物であるとか、そのコピー等が必要な限度内の部数であるとか、その著作物の種類や用途などから判断して、著作権者の利益を不当に害しないこととか、報道の目的上正当と認められる利用であるとかの更なる厳しい制約があることに、充分注意する必要があります。



